市場のボラティリティを恐れず、うまく付き合う方法

31 May 2019 | 貯蓄/投資

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株式市場が乱高下するのは恐ろしいものです。

自分の将来をどのくらい株式市場に投じているだろうかと考えると、恐怖心はさらに募ります。

昨年は、金融市場、経済市場ともに非常に厳しい状況に直面していたように思いました。目先、景気後退局面入りが懸念されており、ボラティリティは高止まりしたままです。しかし、こうした状況でも私はこれまでのやり方を変えず、自分の計画に従いました。

私は物事に動じないわけではありません。機械的に動く人間でもありません。ただ、原始的な脳が私に叫んでいることを無視する方法を習得しています。今日はこうした私の戦略をいくつかご紹介したいと思います。

それはパニック状態の中で判断を下すことを避け、当初の方針を貫くために使う心理的な対処方法です。


純資産を把握する

純資産を把握するには、大局的視点からボラティリティをとらえます。

私は2003年から自分の純資産を辿っています。毎月1回、財務的なダッシュボード・ツールを使用して財務成績をスプレッドシートに記録します。

株式投資は、私の純資産の中で大きな比重を占めています。住宅バブルや2008年世界金融危機の際も株式市場に投資していました。

それは実に恐ろしい時期でした。401(k)(米国の確定拠出年金制度の一つ)の積立を行い、課税対象の証券口座にも投資していたため、報道されるニュースは私にとって単なるニュースではなく、そのまま自分の取引口座の明細書に影響しました。

しかし、記録をつけることで、過去を振り返り、長期的な視点を保つことができます。パニックに陥りそうなときはいつもスプレッドシートを見ます。スプレッドシートを見ることで、私には従うべき計画があることを思い起こせるのです。

2018年末のボラティリティについて振り返って考えると、私はそれ以前に自分の投資の大部分を行っていたのでパニックに陥ることはありませんでした。これは長期にわたる投資の効用で、直近の投資は全体のごくわずかな比率を占めるに過ぎません。15年にわたって投資を行い、未実現利益の堀を築き上げました。

この堀のおかげで夜も安心して眠ることができるのです。

資金を「タイム・カプセル」に入れる

私は、投資をタイム・カプセルに入れたものと考えています。

IRA(Individual Retirement Account: 個人退職口座)の積立は、退職時期に近づくまで資金に手をつけないつもりで行っています。例えて言うなら、開けることができない鍵のかかったガラス箱に入れるようなものです(その資金を所定期日前に使うと、税金と手数料を負担することにもなります)。こうした投資を調整することはありますが、資金は数十年間引き出すことはありません。

その資金は使わないものとわかっていれば、自信を持って株式市場に投資し、市場のボラティリティをうまく利用することも可能です。そのお金を使う必要がある場合、目先の価値が下落することは恐怖です。ですが、数十年のうちには回復すると自分に言い聞かせれば、恐怖は和らぎます。

忘れてならないことは、株式市場では5~10年間に様々な出来事が生じるということです。2008年の世界金融危機の際、株式市場は50%下落しましたが、その後5年以内に下落分をすべて回復しました。S&P 500指数は2007年秋に1,500近くの最高値をつけました。金融危機では2009年3月に675近辺で底入れし、2013年初めに1,500まで回復しました。

緊急時の備え

ご自身の投資資金を、仮に鍵のかけられるとするタイム・カプセルに入れるとすれば、それに手をつけようという衝動に駆られることがないよう仕組みを作っておく必要があります。

そのために私は投資とは別に、いざというときに頼りにできる十分な資金を用意しています。つまり、資金が心もとなくなる状況を乗り切るための現金を用意します。その金額は市場動向とは関係なく、個人のニーズに応じて決めます。

このお金は、市場のボラティリティが上昇し、不安が募った場合の保険だと考えています。この緊急時に備えた資金があれば、株式売却の必要性に迫られることはありません。相場下落が過ぎ去るまでじっと待つことができます。セーフティ・ネットがあるからです。

記憶を長期間保つ

1998年に投資を始めた私は、当時カーネギー・メロン大学でコンピューター・サイエンスを学んでおり、インターネットを理解しているつもりでした。

そのため、自分は何でもわかっていると考える大方の大学生がやるように、私も根拠のない自信に基づいて決定を下すようになりました。その結果、大きな代償を払ってダニング=クルーガー効果を学ぶことになりました!

ドットコム・バブルとその後のバブル崩壊時に、急落する相場で株を買ってしまい、Roth IRA(既出のIRAの一つ)の大部分を失ってしまいました。そうした銘柄の多くは、今はもうありません。(例えばJDS Uniphaseですが、わかる人はいらっしゃいますか?)

金融関連のニュースを見るのをやめる

常に様々な金融関連ニュースに目を通していると、市況が悪化したとき、その情報を遮断してパニックに陥らないようにすることは容易ではありません。

至るところで赤字決算を目にし、次の景気後退局面入りが近いという評論家の発言を耳にすれば、何らかの行動を起こそうという衝動に駆られるかもしれません。

何か行動を起こしたくなるのは、交感神経系の闘争か逃走かという、本能によるものです。この本能のおかげで私たちの祖先は生き延びることができたのです。ジャングルの中で、突然、低木の茂みでカサカサ動く音がしたら、脳は何らかの行動をとるよう指図します。さもなければ、食べられてしまう恐れがあるからです。

金融関連のニュースは低木のざわめきであり、襲いかかろうとする猛獣の幻影です。現代世界では日常に猛獣はいませんし、低木は原因に関係なくカサカサ音を立てるのです。

言葉に出して話す

誰かに話すだけで、神経が落ち着くときがあります。感情を言葉にするという単純な行為が、自分がパニックに陥っていることに気づくのに、十分役立つことがよくあります。

他の人に話をするには、論理を組み立てる必要があります。自分の決定が妥当であることを証明できなければなりません。単なる妥当性の基本的なチェックであるとしても、他人に話すことには価値があります。

何か行動を起こしたくなるのは、交感神経系の闘争か逃走かという、本能によるものです。この本能のおかげで私たちの祖先は生き延びることができたのです。ジャングルの中で、突然、低木の茂みでカサカサ動く音がしたら、脳は何らかの行動をとるよう指図します。さもなければ、食べられてしまう恐れがあるからです。

ボラティリティが上昇したときも冷静さを保つ上で私の戦略が役立ち、皆さんの投資アプローチにその一部でも組み入れていただければ幸いです。

注記:

  • すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。
  • 過去の運用実績は将来の結果を保証するものではありません。
  • ジム・ワンの意見は必ずしもバンガードの意見ではありません。ワン氏はプロの金融執筆者兼ブロガーであり、登録アドバイザーではありません。このブログは対価を得て作成されています。

 


 

ジム・ワン

ジム・ワンは個人金融ブロガーで、Wallet Hacksを創設して金融と人生で成功するための戦略を発信しています。ワン氏は自身のマネーに対するシンプルかつ効果的なアプローチが、業界用語と不要な複雑性を越えて、読者が目標を達成する上で役立つことを望んでいます。同氏はニューヨーク・タイムズ、ボルチモア・サン、Entrepreneur誌などに寄稿しています。妻および3人の子供とともにメリーランド州に居住しています。

 


 

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