投資バランスを見極め、維持すること

27 May 2016 | 貯蓄/投資

 印刷

コメント:バンガード・グループ、アジア太平洋地域投資戦略グループ、ジェフ・ジョンソン

人生の中で、どれほどバランスを見極める場面が多いか、お気づきでいらっしゃいますか?私たちは常に、正反対の要素の間で最適解を探し求めています。品質とコスト、貯蓄と支出、仕事と遊び、活動と休息…枚挙にいとまがありません。

バランスを見極めることは投資においても重要です。ポートフォリオのアセットアロケーションン(資産配分)を決定する際には、リスク許容度、投資目標、投資の時間軸に応じて、リスクと期待リターンとのバランスを考慮する必要があります。

とはいえ、投資バランスを見極めても、維持し続けることができなければ意味がありません。ここにリバランスを行う意味があります。リバランスとは、定期的に「勝ち」ポジションの一部を売り、「負け」を買い増すことで、当初目標として定めた資産配分とリスク特性に戻すことが出来るのです。

リスクとリターンのトレードオフ

アセットアロケーションと同じように、リバランスはリターンの最大化ではなく、リスクをコントロールすることを目的としています。この点を図示したのが、89年間にわたって2つの仮説ポートフォリオのリスクとリターンを比較したグラフです。いずれのポートフォリオについても、グローバル株式とグローバル債券の比率は、最初のアセットアロケーションではそれぞれ50%と設定します。ポートフォリオの一方は、年1回のリバランスを行い、もう一方はリバランスを実施しないものとします。

リバランスしないとどうなるのか

年1回リバランスしたポートフォリオと、リバランスを実施しないポートフォリオのリスクとリターン比較:1926年~2014年

リバランスしないとどうなるのか


注:グラフは1926年から2014年までの期間、グローバル株式50%、グローバル債券50%の比率で構成した仮説ポートフォリオで、年1回リバランスしたものとリバランスを実施しなかったものの比較を示す。リターンはいずれも名目米ドル。資金の追加や解約はない。配当は株式に再投資され、利払いは債券に再投資される。コストは発生せず、全ての数値を年率で算出。

出所:ファクトセットのデータに基づき、バンガードが算出。

予想通り、このような長期では株式が債券のパフォーマンスを上回り、リバランスを実施しなかったポートフォリオは徐々に目標水準から外れ、株式のアロケーション比率は最終的には97%に達しました。上のグラフが示すように、リバランスを実施しなかったポートフォリオでは株式のアロケーションが高まり、リバランスを実施したポートフォリオを上回るリターンを生んでいます。しかし、この超過リターンには、ボラティリティが大きいという、重大な落とし穴があるのです。

結果だけをみれば、ボラティリティの大きさは、より高いリターンを得るためには重視する必要はないと感じられるかもしれません。しかし、このような考え方は禁物です。リバランスを行わないことで目標アセットアロケーションと比べてボラティリティが高まるだけでなく、退職時期が迫りリスク許容度が低下するなかでも、ボラティリティが拡大し続ける可能性が高まってしまいます。

戦略を選ぶこと

リバランスを実施する上での、最善の方法とは何でしょうか。バンガードの調査によれば、各リバランス戦略の間でリスク調整後リターンに著しい差異はありません。しかし、売買手数料やポートフォリオのモニタリング・コスト、税金、その他のリバランス・コストを考慮すれば、戦略間での差が明らかになる可能性があります。

3つの一般的なリバランス戦略で解説します。

  • 時間にのみ基づく戦略-所定の時間的間隔(毎日、毎月、毎四半期、半年に1度など)でリバランスを実施。
  • 比率にのみ基づく戦略-所定の比率(5%、10%または15%など)分だけポートフォリオが目標アロケーションから動いた場合にリバランスを実施。
  • 時間と基準に基づく戦略-所定の時間的間隔かつ一定の基準を満たした場合に限ってリバランスを実施。

例えば、時間にのみ基づく戦略で毎日リバランスした場合を考えてみましょう。年1回リバランスを実施した場合よりも、望むアセットミックスに近づけることができますが、より頻繁に実施しなければならないため、取引コストはかさむことになります。

同様に比率にのみ基づく戦略を使い、基準値を1%にした場合、10%でリバランスを実施するよりも目標に近いアロケーションに近づけることができます。しかし、頻繁なリバランスが必要になるためコストは増大します。さらに、この戦略の場合、ポートフォリオの継続的なモニタリングが必要となり、時間的に拘束される上、モニタリングを他者に委託するのであればコストもかかってしまいます。

バンガードの見解では、時間と比率に基づく戦略であれば、リスク管理とコスト最小化の優れたバランスを実現すると思われます。例えば、年1回または半年に1回、5%の基準値を満たした場合に限りリバランスを行うといったやり方です。

コストを抑制するもう一つの方法としては、キャッシュフローに合わせてリバランスする方法があります。一つのアセットクラスを売って別のアセットクラスを買う代わりに、ポートフォリオの配当、金利、その他の分配金等を使って、アンダーウエイトしている(目標水準より低くなっている)アセットクラスを買い増すやり方もあります。

最後に

リバランスの必要性やその方法を理解するのは簡単ではありません。リバランスの実施が常に正解とは限りませんが、それでもなお、ポートフォリオ構築やリスク管理という観点からは、十分に意味のあることなのです。

人生の出来事と同様、リバランスにも何らかのトレードオフがつきものです。しかし、リバランスで得られる恩恵は本質的なものです。リバランスというリスク管理を行うことで、市場の急落を乗り越え、投資計画を維持し、長期的な投資目標を達成することができるのです。


 

ご留意事項

< リスクに関する情報 >

一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動するため、株・債券の価格が下落し、損失を被ることがあります。株・債券の価額の変動要因としては、主に「価格変動リスク」や「為替変動リスク」、「カントリーリスク」、「信用リスク」、「流動性リスク」などがあります。

 印刷