インデックスファンド~成功の背景~

19 August 2015 | マーケット・経済

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インデックスファンドの人気は、ここ10年で一層の高まりを見せています。しかし一部で、その人気の過熱や規模拡大に対する懸念も出始めています。株式インデックスファンド運用チームを統括する、ジョー・ブレナンと、債券インデックスファンド運用チームを統括するグレッグ・デイビスの二人にインタビューを行い、インデックス運用の成長と、株式や債券市場で話題のテーマについて話を聞きました。

株式インデックスファンド運用チームは、資産規模の大きな株式インデックスファンドを何本も運用していますが、成長した背景を教えてください。

ジョー・ブレナン:投資家の間でインデックスファンドへの関心が高まったのは、上場投資信託(ETF)の飛躍的な成長が主な要因です。特に、バンガードが提供する低コストのETFは、各方面の投資家から非常に高い支持を得ています。一方で、顧客に対して株式やファンドの選定を担ってきたフィナンシャルアドバイザー(FA)がビジネス・モデルの転換を図り、アセットアロケーションや投資行動におけるコーチング、税務マネジメントへと軸足を移しつつあります。こうしたFAが、顧客のポートフォリオ構築に対して低コストのETFを提案しているのです。



バンガード・米国トータル債券市場ETFが合同運用されている債券ファンドは、今や世界最大規模に成長しています。その要因は何でしょうか。

グレッグ・デイビス:このETFは、個人投資家、機関投資家、ファイナンシャルアドバイザーを問わず、多くの投資家を惹きつけています。米国のさまざまなセクターの課税対象債券(米国債、社債、米国以外の米ドル建て債券、モーゲージ債及びアセットバック証券など)で構成され、米国の投資適格債券市場へのエクスポージャーを幅広く得たい投資家にとって、債券に最も近い代替金融商品となっています。また、投資対象の分散化は、幅広い株式を組み込むポートフォリオを債券で補完したいと考える投資家にとっても適しています。さらには、運用コストも極めて低く抑えることができます。



この人気を受けて、業界最大規模を誇っていたあるファンドは、長期にわたる大規模な流出を余儀なくされています。「王冠を戴く者には気の休まる暇もない」とは、シェイクスピアの言葉です。バンガードは同様のリスクに直面してはいませんか。

グレッグ・デイビス:二つのファンドを比べると、性格が大きく異なります。バンガードはインデックス運用であり、明確なベンチマークに基づくパフォーマンスの実現を目指しています。そして設定以来、非常に効率よくこの目的を達成してきました。また、バンガードのインデックスファンドは、チーム体制で運用しています。投資家には、パフォーマンスだけではなく、運用コストの低さや分散の度合い、リターンの相対的な予想のしやすさにも目を向けていただきたいと思います。バンガードのファンドは、一人の「花形」マネージャーが運用するアクティブ運用ファンドとは価値観が全く異なるのです。

バンガードは総じて、短期的な投資家の流入を好みません。バンガードのファンドに投資頂いている投資家皆さまの長期的な利益を守るため、大口の買い注文をスクリーニングし、場合によってはファンドをクローズ(新規の投資を受け付けない)することで短期的な投資家の流入を防いでいます。短期的な投資家は売買手数料を負担した上でバンガードETFを活用しています。またバンガードには、流動性を微調整するという手段もあります。そして、競合他社から資金が流出しているときは、一時的な投資先を求めるだけの投資家を呼び込まないよう注意しています。

メディアは、インデックスファンドやETFが市場を動かし、ボラティリティを拡大させていると報道しています。インデックス投資の肥大化で、市場全体にリスクが生じる可能性もあるのでしょうか。

ジョー・ブレナン:いくつかの理由から、そのような可能性は低いと考えています。というのも、幅広い銘柄を扱うインデックスファンドの売買単位は少量で、回転率も高くはありません。よって、インデックスファンドの元本は現在極めて安定しており、管理可能な水準内で取引されています。実際、インデックス運用が米国株式市場時価総額に占める割合は約15.5%に過ぎず(出所:バンクオブアメリカ・メリルリンチ、2015年3月31日現在)、市場の大部分はアクティブ運用のマネージャーが占めています。さらに、バンガードのインデックスファンド全体の取引額についても、世界中の取引所における1日当たりの平均取引額の約0.25%に過ぎません(出所:バンガード)。

多くのファンドがベンチマークとするインデックスで銘柄の入れ替えが行われた場合には、個別銘柄レベルでボラティリティがある程度高まることはあるかもしれません。しかし、そうしたボラティリティは、その特定の銘柄に限定され、短期間で収束するものです。

株式市場のボラティリティが高まる最大の要因は、インデックスファンドのような運用スタイルではなく、レバレッジや企業価値評価の変動、システミックリスクまたは地政学的リスクの発生などです。インデックス運用と市場ボラティリティの上昇を結びつけるのは正しい認識だとは言えません。

グレッグ・デイビス:インデックスファンドやETFが債券市場全体に占める割合は10%前後とごくわずかです(出所:国際通貨基金(IMF)「国際金融安定性報告書」、2014年10月)。債券市場は非常に厚みがあり、相当数の多様な投資家が参加し流動性も高いことから、格付けの高い投資適格債券ファンド(一般的に、信用格付け機関からAa3/AA-以上の格付けを付与されているもの)が顕著な変化をもたらすとは考えられません。

バンガード自体が肥大し過ぎることはありませんか。

ジョー・ブレナン:バンガードのお客さまは、一般的な投資家よりも慎重な長期投資家であり、概して、戦略的なアセットアロケーションを行い、長期的な視点を持って投資目標の達成を目指されています。バンガードがめざましい成長を遂げたとは言え、戦略としてのインデックス運用も、投資信託運用会社としてのバンガードも、資本市場全体から見れば大海の一滴に過ぎません。規模に目を向けると、相対的な数値ではなく絶対的な数値を気にしがちですが、二つの数値には大きな違いがあります。

一方、規模について論じる際に見落とされがちなのが、インデックスファンドは投資家の意思を反映しているという点です。取引はファンド・マネージャーではなく投資家によってコントロールされ、投資期間やリスク選好度、投資目標がそれぞれ異なる数百万もの投資家に所有されているのです。こうした投資家は、市場環境が最も厳しい局面を迎えたときでさえ、全体で見れば、投資姿勢を維持しました。実際、バンガードが運営する退職年金制度において、米国の退職年金制度加入者が2007年9月から2009年12月の間に取った行動を調査したところ、加入者の約4分の3が口座に変更を加えておらず、株式へのエクスポージャーをゼロにした加入者はわずか3%にすぎないことが分かりました。

グレッグ・デイビス:債券に関して言えば、バンガードは主に投資適格債市場に投資しており、保有資産の大半が米国債、モーゲージ債、社債市場に集中しています。これらの市場でバンガードが占める割合はごくわずかです。

また先ほども触れましたが、我々は債券・株式ともに、ファンドの規模拡大に目を光らせ、大口の買い注文をスクリーニングし、長期の投資家のみを受け入れるようにしています。バンガードは巷で流行っている「ホット・ファンド」を売り込むことはしません。資産規模が過大になり、健全で慎重な運用ができないとなったら、ファンドをクローズすることもあります。

バンガードのファンドを運用する上で、規模が問題になることはありますか。

ジョー・ブレナン:株式のインデックス運用に関して規模が問題になることはありませんが、ファンドの運用に当たっては規模を考慮する必要があります。トレーディング戦略をインデックスの変更やリバランスに応じて組み立てることは、ファンドの規模に関係なく行っています。今やETFは世界的に見てもバンガードのインデックスファンドに対する資金流入額の大きな割合を占めていますが、資金は現物株のバスケットを通じて流入します。* つまり、実際の取引額は数字が示唆するよりも少ないのです。

グレッグ・デイビス:債券のインデックス運用に関しても規模が問題になることはないと考えています。一例を挙げると、バンガード最大の米国債券インデックスファンドが保有する資産は、約40%が米国債、20%が民間の住宅モーゲージ債、残りの大半が投資適格債で構成され、資産担保証券(ABS)と商業用不動産ローン担保証券も少量含まれています。これらのセクターの大部分は極めて流動性が高いため、現在および将来にわたっても、運用に支障が出ることはないと思われます。実際のところ、スケール・メリットを活用できることを考えれば、規模の大きさは利点にもなります。

次に、市場についての質問です。米国の金利引上げについて、さまざまな臆測が飛び交っています。米連邦準備制度理事会(FRB)は、年内に利上げに踏み切ると思いますか。利上げ時期が不透明であることは、市場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

グレッグ・デイビス:今年初めの時点では、6月か9月にFRBの利上げが実施されるとの予想が主流でした。しかし主に悪天候が原因で、第1四半期の成長率は予想を下回る結果となりました。ドル高の進行や低水準で推移するインフレ率も、市場やFRBが様子見姿勢を維持する一因となっています。現在、市場は9月の利上げの可能性を五分五分で織り込んでいますが、経済指標が予想を下回る結果となる場合、利上げは12月以降に持ち越される可能性があります。

しかし、利上げは必ずしもマイナス要因ではありません。投資期間を長期に設定し、短中期債のファンドに投資すれば、利上げによって、最終的にはインカム・ゲインが増すことになります。

2013年に見られた市場の混乱「テーパー・タントラム(米国が量的緩和縮小(テーパリング)政策を方針として固めた時に起こった混乱を差します)」が再現するのではないかとの懸念もあります。しかし投資家は、米国のいくつかの金利が世界の他の先進国をすでに上回っていることに留意する必要があります。例えば米国外の投資家にとって米国市場は、約0.7%の利回りで取引されているドイツ10年物国債と比べ、非常に魅力的です。このように、他国の市場の金利が米国よりも低いことから、米国の金利上昇ペースは抑制される可能性があります。

金融危機以降、世界の株式市場の多くは好調に推移してきました。例えば米国市場は2009年3月に底値を付けてから2015年3月末までに250%近く上昇しています。今後の展開について、何か懸念はありますか。

ジョー・ブレナン:株式市場が堅調なリターンをあげてきたことは確かです。投資家の不安とボラティリティが高まっている局面で景気が底を脱すれば、株式市場では通常、投資機会が生まれます。割安な水準にある株価や、成長見通しの改善、そして世界的な景気回復など、多くの理由から、投資家は引き続き株式を選好しています。

株価は、景気が好転している状況を忠実に反映して5年前に比べ割高となっており、今後はこれまでのような高リターンは期待できないと思われます。だからと言って株式が大きく売られるとは限らず、また株価がさらに上昇する可能性がないとも言い切れませんが、今後はこれまでの強気の見通しを維持することが難しいため、投資家は期待を抑制する必要があります。

債券市場の流動性が話題になっています。この点について説明してください。

グレッグ・デイビス:債券市場、特に社債市場の流動性について、懸念が深まっています。しかし投資家は、そもそも債券の取引額がさほど大きくないことを忘れています。債券のほとんどはバイ・アンド・ホールド向けの金融商品で、国債市場では、マーケットメイクとキャッシュフローによって日々取引されています。一方、社債の多くは、発行市場での購入後、口座に組み込まれ、満期まで保有されるのです。

仮に資金流出が生じたとしても、流動性については心配していません。バンガードのポートフォリオは格付けが高く、市場の中でも極めて流動性の高いセグメントを重点的に組み入れているからです。またファンドには、米国証券取引委員会(SEC)によって厳しい規制が課され、米国籍ファンドが保有する資産の85%以上は流動性の高い証券でなければなりません。一方、債券市場の中でも、ハイイールド社債など、より細分化したセクターレベルでは流動性が問題になる可能性があります。

格付けの比較的高い債券に投資する一部のインデックス・ポートフォリオ(主にETF)は、現物を使って設定と償還を行うことで、ほぼ全取引に対応しています。またアクティブ・ファンドに関しては、ベンチマークに流動性バッファーが組み込まれています。バンガードは、流動性を確保する目的でアクティブ・ファンドの運用も行っています。

インデックスファンドは今後どのように展開すると思いますか。

ジョー・ブレナン:今や市場ではインデックス運用の意味が拡大し、時価総額加重に基づく投資戦略以外もインデックス投資に含まれるようになっています。「スマート・ベータ」や「ファンダメンタル・インデックス」または「オルタナティブ・インデックス」という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかしこうした意味の拡大は、時価総額加重に基づくインデックス投資の定義を薄めるものであり、こうした戦略は、アクティブ運用をパッシブな方法で実行するものと言った方がよいでしょう。投資家は、x購入を検討しているファンド内容をよく理解する必要があります。

ファイナンシャルアドバイザーはアセットアロケーションが極めて重要であること、そして運用コストが無視できない要素であることを認識するようになりました。インデックスファンドはこのコストの観点で重要な役割を果たします。インデックスファンドを活用すれば、高度に分散されたエクスポージャーを低コストで手に入れることができるからです。アクティブ運用のマネージャーは常に手数料を見直し、自身のファンドがインデックスファンドと比較してどれだけ競争力があるかを考えなければならないでしょう。

グレッグ・デイビス:債券にインデックスファンドを取り入れる手法はまだ新しく、未来は非常に明るいと期待しています。ETFを活用頂くことで、引き続き投資家の皆さまの利益に貢献出来ればと考えています。

ジョー・ブレナン:インデックスファンドの人気は今後も続くと思われます。今や市場は運用コストの重要性を理解しており、インデックスファンドは真に低コストな投資ツールであり続けることでしょう。

* 従来型のミューチュアル・ファンドとは異なり、ETFでは通常、資金がファンドから出入りすることはありません。受益証券を直接購入し償還する権利は、指定参加者と呼ばれる一部の専門的機関投資家のみに認められており、指定参加者による購入と償還は、ほぼ受益証券のみによって行われます。


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