ボラティリティの持つ力

26 August 2019 | マーケット・経済

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投資の世界では、ボラティリティは通常、悪役とされています。しかし良くも悪くも、市場にはボラティリティの持つ力が必要です。

(注釈)
ボラティリティとは有価証券、ミューチュアル・ファンドまたは指数の値がどれだけ変動するかを指し、多くの場合、標準偏差またはベータといった数値で表現されます。ファンドのボラティリティが高いほど、高値と安値の差は大きくなります。

一般的に考えられていることとは裏腹に、市場のボラティリティは、実際にはアンダーパフォームとアウトパフォームを分ける、陰の立役者となる場合があります。ここで、ボラティリティの善し悪しについて結論を下す前に、詳しく調べてみましょう。長期的にはボラティリティがプラスに寄与することもあると言ったら、皆さんは驚かれるかもしれません。

高ボラティリティと低ボラティリティ

ボラティリティは高ければ悪く、低ければ良いのでしょうか?必ずしもそうとは限りません。

株式市場のボラティリティとは、株式のリターンが平均値から乖離する頻度(と大きさ)を表し、乖離の方向はプラスの場合もあればマイナスの場合もあります。

例として、車の購入時について考えてみましょう。車の価値は購入日から毎年10%ずつ低下していきます。価値の低下ペースが緩やかで、かつ一定であるため、車は低ボラティリティ資産と考えられています。一方で、住宅を購入し、1年目に4%、2年目に7%、3年目に2%値上がりしたとしましょう。住宅は高ボラティリティ資産であり、所有する住宅は優れた資産であるとも考えられています。

ボラティリティが改善を示すか悪化を示すかは、直近の投資リターンによって決まります。株価はここ数年、順調に上昇基調をたどってきました。株式の平均リターンがプラスだったため、マイナス・リターンが数日間続いた場合には、プラス・リターンが数日間続いた場合と比べ、ボラティリティの急上昇を引き起こします。対照的に、株式市場が下落基調をたどっている局面では、リターンが数日間プラスになれば、ボラティリティが跳ね上がります。以下の図は、正反対のパフォーマンスを示す2つのポートフォリオのボラティリティが同一になり得ることを示しています。

同一のボラティリティを示す2つのポートフォリオ

注記:上記の図は、2つのポートフォリオについてシミュレーションを行った仮想リターンを表しています。ボラティリティは日次リターンの10日間移動平均標準偏差として計算しています。

冷静さを保つ

皆さんが市場のボラティリティについて考えるのは、株式のリターンが予想以上に長期にわたり予想を下回った場合だけかもしれません。しかしボラティリティは常に存在します。それをうまく活かせるかどうかはあなた次第です。

2008年の世界金融危機では、世界恐慌以降最も長期にわたり、市場のボラティリティが平均を上回る局面が続きました*。ボラティリティがピークに達していた2008年秋にS&P 500指数に投資し、そのままボラティリティが過去の平均を下回った2009年秋まで保有し続けた場合、(配当を別にしても)33%のリターンを得られた計算になります。

勝ち目があると言えるでしょう

時として、証券口座の残高は日々(大きく)変動することがあります。しかし、たとえ市場のボラティリティが上昇した場面でも、ポートフォリオの資産を分散していれば、依然として勝ち目があります。

以下の表は、S&P 500指数の日次リターンが、ボラティリティ(つまりリターンの標準偏差)を上回るペースで上昇することを示しています。投資期間を長く設定すればするほど、プラス・リターンを実現できる確率は高まります。

期間

リターンの中央値

リターンの標準偏差

リターンがプラスとなる確率

1日

0.06%

1.10%

54%

1週間

0.35%

2.27%

58%

1カ月

1.29%

4.19%

64%

1年間

13.69%

16.50%

83%

10年間

119.01%

137.45%

91%

出所:ブルームバーグのデータに基づきバンガードが算出。期間:1988年1月4日~2018年2月16日。

どの1日をとっても、リターンは50%以上の確率でプラスとなり、投資期間を10年に設定した場合、プラス・リターンを得られる確率は91%まで上昇します。これは、ボラティリティが急激に上昇した場合に、投資の長期的な見通しを維持すれば、大いに勝ち目があることを示しています。

*この例では、ボラティリティをS&P 500指数のリターンの30日間移動平均標準偏差と定義し、1928年3月~2018年2月の平均を算出しました。

注記:

  • すべての投資にはリスクが伴い、投資元金を割り込む可能性があります。
  • 分散投資は、利益を保証するものでも、損失を防止するものでもありません。
  • 過去の運用実績は将来の結果を保証するものではありません。


ご留意事項

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    • 株式や債券への投資は、カントリー・リスク、地域リスク、通貨リスクなどのリスクを伴います。新興国市場を基盤とする企業の株式は、国と地域の政治リスク、経済リスク、為替変動リスクを伴います。これらのリスクは特に新興国市場で高くなります。
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    バンガード・マーケティング・コーポレーション、バンガード・ファンドの販売会社

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