アセットアロケーションはどのくらい重要なのか、その証拠とは?

22 December 2016 | マーケット・経済

 印刷

バンガードの欧州チーフエコノミスト兼投資戦略ヘッドのピーター・ウェストアウェイによるコメントをご紹介いたします。

ご注意ください:この記事は投資マニアが投資マニアの方向けに書いたものです。明らかに統計的性質の内容を含んでいます。

主なポイント:

  1. 長期で分散されたポートフォリオのボラティリティの80.5%1 は、戦略的アセットアロケーション(中長期的な視点で基本的な資産配分の方針を決めること)によって説明されます。
  2. また、分散されたポートフォリオのターミナル・バリュー(最終価値)の23.6%1は戦略的アセットアロケーションによって説明されます。
  3. ファンド及び銘柄選択は、ターミナル・バリューにとって重要な要因となります。
  4. 投資目的に適したポートフォリオを構築するには、戦略的アセットアロケーションから始めることが最適です。

バンガードの4つの基本原則の1つは、幅広く分散しているファンドを使い、適切なアセットアロケーションを構築することによって、投資家は成功のための最良の機会を得ることが出来ると述べています。この原則は、戦略的アセットアロケーションはポートフォリオのボラティリティにとって最も重要な原動力であり、かつリターンにとっても重要な原動力であるという事実に基づくものです。

では、どこにその証拠が存在するのでしょうか?

この考えが最初に注目を集めたのは、1986年に研究者ゲイリー・ブリンソン、ランドルフ・フッド、ギルバート・ビーバウワー(これ以降BHB)が、「ポートフォリオ・パフォーマンスの決定要因」と題する論文を発表したときでした。ウィリアム・ヤンケによる後続の研究は、これとは異なる姿勢をとり、投資家は投資期間中の変動よりも投資のターミナル・バリューを重視していると主張しました。ヤンケが1997年に発表した論文「アセット・アロケーションのまやかし」は、BHBの結論はファンド選択がターミナル・バリューに与える影響を認識できていないと示唆しました。

バンガードの調査は、BHBとヤンケの両者とも正しい可能性があることを示唆しています。それは、当初のアセットアロケーションが、保有期間中のリターンの変動にとって最も重要な原動力であるものの、ファンド選択もまた、投資期間全体のリターンに大きな影響をもたらすことを示しています。

統計的な警告!

統計データを語らずにこのテーマを議論することは困難なので、ここで語ることにしましょう。バンガードは、1990年から2015年までの期間の英国の743本のバランスファンド、つまり、株式、債券、現金など異なる資産クラスを組み合わせて投資するファンドのパフォーマンスを測定しました。各ファンドについて、次を検証しました。

  1. ポリシーリターン。これを、インデックスファンドを用いて実施されたアセットアロケーションだけに基づいてポートフォリオが獲得したであろうリターンとして定義します。
  2. 実際のリターン。長期にわたりほとんどのバランスファンドのファンドマネージャーが行う多くの積極的な決定を経た上で、投資家が獲得したリターンのことです。

その後、私たちは、ファンドの実際のリターンとポリシーリターンの時系列データを使った回帰分析を行いました。この分析からもたらされた自由度調整済み決定係数は、アセットアロケーションが保有期間中にもたらしたポリシーリターンと実際のリターンの差異の程度を示します。高い自由度調整済み決定係数は、ポリシーリターンの変動がファンドのリターンの変動の高い割合を決定することを意味します。

私たちの分析結果は、概ねBHBの最初の結論を裏付けるものとなりました。検証した743本の英国のバランスファンド2に関して、戦略的アセットアロケーションが、リターンの変動性の80.5%を決定したことがわかりました。

その後、実際のリターンとポリシーリターンを比較するための横断的な分析を行うことで、ヤンケの結論を検証しようと試みました。この手法を用いることで、当初のアロケーションのターミナル・バリューへの影響は23.6%と低い結果となり、ファンド選択が、投資家が獲得することになる実際のパフォーマンスにとって本当に強力な原動力であることが示唆されました。

ボラティリティ対リターン

バンガードの分析結果を別の言い方をすれば、アセットアロケーションは、長期では、ポートフォリオのボラティリティの主な原動力であり、アセットアロケーションとファンド選択の両者は(マーケット・タイミングや銘柄選択などを含む他の要因と同様に)、ターミナル・バリューに影響を与えるということです。

ほとんどの投資家にとって、保有期間中のリターンとその途中でのボラティリティは、重要な判断材料です――そして、アセットアロケーションはその両方の要因に影響を与えます。したがって、最新の人気ファンドを選択することに執着するのではなく、自身の投資目的に適したポートフォリオを構築する際には、アセットアロケーションから始めることがより賢明であると我々は考えます。

1 出所:モーニングスター社のデータを基にバンガードが計算。
2 米国、オーストラリア、日本、カナダ市場についても同様の分析を実施し、86%(カナダ)から91%(米国)の範囲で同様の結果を得ました。


 

ご留意事項

<リスクに関する情報>

一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動するため、 株・債券の価格が下落し、損失を被ることがあります。株・債券の価額の変動要因としては、主に「価格変動リスク」や「為替変動リスク」、「カントリーリスク」、「信用リスク」、「流動性リスク」などがあります。

 

 印刷