大幅な市場反落が起きる可能性は?

22 March 2018 | マーケット・経済

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対談内容の記録

ジョー・デイビスレベッカ・カッツ(モデレーター):ペンシルバニア州パーキオメンヴィルにお住いのカーステンさんから質問が寄せられています。米国の株式市場において、今後大幅な――つまり15%以上の――反落が起こる可能性はどのくらいあるでしょうか、というものです。

ジョー・デイビス(バンガード・グローバル・チーフエコノミスト):そうですね、実は先日、リサーチ記事『2018年の経済および市場見通し』を出しました。バンガードのウェブサイトに出ていますが、リスクを数量化して示しています。なので、反落が起こる可能性という質問には2つの数字でお答えしましょう。


過去を振り返ると、どの年をとっても投資家が株式市場の反落を経験する確率は、40%です。ここで私は、市場反落を10%以上の下落と定義しています。もっと大きな下落もありますが、S&P500指数などで20%以上の下落がある下げ相場は、典型的また必然的に景気後退と関連していると言えるでしょう。つまり、下落幅が大きければ大きいほど、経済もより芳しくない状況にあると言えます。しかし、最初の質問にあった市場反落については、10%の下落という定義を使います。この反落が起こる確率は、今までは40%でした。しかし現在のこの確率は上がり、およそ70%になります。これは、我々の株式リターン予想モデルや過去の株価パフォーマンスの実績、そして世界の金利水準やバリュエーション――株価を、複数の企業が算出する、見越し収益で割ったもの――を考慮に入れた結果です。私がバンガードに入社してから15年経ちますが、これまでに作成した中で最も高い数字となっています。

もう一度はっきりお伝えしておきたいのですが、このレポートをご提供することは極めて大切なことで、投資家の皆さんももし興味があれば、目を通していただくことをおすすめします。ご自分でできる対処の方法があるからです。まず、グローバルに分散したポートフォリオを持つということです。もしも米国株だけではなく、グローバルに、ヨーロッパ、アジア、新興国にも投資していれば、この確率(資産価値が10%以上下落する確率)は60%に下がります。繰り返しになりますが、通常は40%です。これが株式に投資する理由なのです。なぜなら、常に反落のリスクが抑制されているような市場で、どうしてハイリターンを期待できるでしょうか? 短期債ファンドにボラティリティが生じた場合、同時にハイリターンへの期待が高まるのは何故でしょうか? リスクがあるからリターンも見込める。これが、株式市場というものなのです。そしてもう一点は、バランスを取るということです。60%株式、40%債券のポートフォリオであれば、一年に10%の下落もしくは収益がマイナスになる確率は、かなり限定されます。

グローバルな分散化、そして株式と債券のバランスを取ることは、どんなときにも重要でしたが、現在その重要性が増しています。このようなトレードオフは、現在の状況下で一層、的を射たものになっています。その理由のひとつに、ここ数年の米国株の好業績があります。

レベッカ・カッツ:この市場反落が起こる確率に絡む課題は、多くの視聴者が懸念する点であると思います。「大変だ。今は株式投資は控えたほうが良さそうだ。あるいは違う投資方法を見つけるか」と考える投資家も多くいるでしょう。でも課題というものは、自分にはわからないものではないでしょうか。反落が来るのは、もしも、ではなくていつ、という問題かもしれない。しかし、いつ反落が来るのかわからない。リバウンドがいつ来るかもわからない。世界金融危機以後、そういった不安が渦巻くのを見てきました。

ジョー・デイビス:そうですね。この不安に対し、私が個人的にどう投資しているか、そしてこの統計の数字を出すために使ったすべてのデータについてお話しすることはできます。全てに目を通していますから。私たちが出したこの70%という数字は、期待リターンが低い理由の一つなのです。しかしそれでも、私のポートフォリオの株式の期待リターンは、債券部分の期待リターンよりも高くなっています。そして、もしも私がいつか引退しようという目標を立てた場合、妻と私は――

レベッカ・カッツ:引退なんかさせませんよ。

ジョー・デイビス:子どもたちの大学資金を蓄えるため、私はこのプランを続けるつもりです。なぜなら、個人的に、もしジョー・デイビスが小賢しくタイミングを捕らえようとしたとすると――まず、誰にもそんなことはできないんですけれどね――もしもできると思ったとしても、次の疑問に答えを出さなければなりません。まずひとつ目は、何を基準に守りの姿勢を取るかということ。そして同じくらい大事なのは、いつ市場に戻るかということです。なぜなら、株式市場の長期的リターンの約50%は、一年のうちの3日か4日に集中しているからです。リターンを得る機会というのはとても集中しているのです。ピークはかなり急激にやってくるかもしれません。なので、市場からいつ離れいつ戻ってくるか、正確でなければなりません。

そして、2009年から2010年にかけてのトラウマもあって、投資家はまだ市場にフルに投資していないと聞いています。なので、これらの統計の数字と、どれだけ自分に自信があるかをじっくり考えてみるといいと思います。自分がそれほど鋭敏に行動できないと感じる投資家は多いのではないでしょうか。


 

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