バンガード会長兼CEOからのメッセージ「マーケットと経済の今」

25 October 2016 | マーケット・経済

 印刷

ビル・マクナブここ数か月、グローバル経済が緩やかながらも持続的なペースで成長を続けている中で、マーケットに見られる一連の気がかりな動きが、規律ある姿勢を維持することの重要性を改めて浮き彫りにしています。

その最たるものは「ブレグジット」、つまり英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決定したことです。しかしこれ以外にも、原油その他コモディティー価格の乱高下、米国雇用統計の不安定な推移、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ時期見通しのずれ込み、すでにマイナス水準にある欧州と日本の国債利回りのさらなる低下など、多くの要因が市場に影響を与えています。

さらに、8月にはバンガードにとって記念すべきイベントがありました。バンガードが個人投資家向けにご提供した世界初のインデックスファンドが40周年の節目を迎えたのです。 

まだ十分な評価が得られていないかもしれませんが、インデックス運用は世界中の個人投資家、アドバイザーそして機関投資家の投資戦略を大きく改善しました。このメッセージの後段で、米国ペンシルベニア州バレーフォージで産声を上げ、当初はほとんど注目を浴びることもなかったこの新しいファンドが巻き起こした革命についてお話します。

ブレグジットで募る投資家の不透明感

6月23日に行われた国民投票の重大な結果は、英国民自身にとっても意外なものだったと言えるでしょう。投票までの間も市場はある程度、神経質な動きを見せていましたが、予想を覆す投票結果を受け世界中でボラティリティ(変動性)が一気に上昇しました。投票直後の2回の立会いで世界の株価はドルベースで5%~10%下落、とりわけ英国と欧州の各市場は最も大きな打撃を受けました。一方で、グローバル債券市場はこれと逆の動きを見せました。これはまさに、分散化ポートフォリオの真価を如実に示す典型的な実例です。

この種のボラティリティが高まると投資家は「何とかしなければ」と行動を起こす背中を押されがちです。しかし、株式市場が最悪の状況からベストの状態へと一転することがあり、6月がそうでした。グローバル市場が崩壊するとでも言わんばかりの新聞見出しが躍る中、我先にと保有株式を減らすことで自らのポートフォリオを守ろうとした投資家が、結局のところブレグジット後の相場で損失を確定させてしまい、その数日後に起きた急反発場面でのチャンスを逸したのも無理からぬことと言えるでしょう。しかし、こうした報道はノイズ(雑音)で、本来なら投資家は無視するのが賢明なのです。バンガードの投資家の皆さまが総じて賢明に行動されたことは喜ばしいことです。バンガードのファンドには、英国の国民投票後も引き続き資金が流入しているのです。

過去12か月間に株価は全体として上昇し、米国の投資家の場合、米国株式は11%超、また、国際株式も約3%上昇しました。

驚いたことに、債券市場は1年前の大方の予想に反して堅調なパフォーマンスをあげました。これ以上低下しようのないほどの水準にまで下げていた金利は、多くの国でさらに低下し、日本やいくつかの欧州諸国の中央銀行がマイナスの政策金利を導入しました。こうした政策のため短期金利が押し下げられる一方、世界的な低成長、低インフレの見通しが長期金利の重石になりました。

米国利回りの低さは他の多くの先進諸国ほどではありませんでした。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を2015年12月に一度だけ、0.25%~0.50%へとわずかに引き上げました。より長期の金利を見ると、指標となる10年物米国債利回りが7月初めに過去最低の1.36%に低下し、その後1.58%までやや戻して8月を終えました。8月31日までの12か月間で見ると、米国内に拠点を置く投資家の場合、米国債券のリターンは約6%、米国以外の債券のリターンはこれを上回る約11%と、市場の予測の難しさと分散化のメリットが改めて明確に示されました。

この数年、多くの投資家がインデックス投資家の仲間入り

ブレグジットの時のように、マーケットが動揺するのは珍しいことではありません。幸いなことに、インデックス運用はマーケットが動揺した時の投資家の誤った判断を防ぐ耐久力のある行動ツールであることが分かっています。この点はあまり評価されておりませんが、インデックス運用の利点の一つなのです。幅広く分散化されたポートフォリオの一部としてインデックスファンドを保有することで、矢継ぎ早に報じられる新たなメディア情報にすぐ反応してしまう傾向を抑え、バランスを取ることができます。ボラティリティ上昇時でも、一部に価格が下落している市場へのエクスポージャーがある一方で、より好成績を上げている市場へのエクスポージャーも持つことができるのです。

バンガードが個人投資家に向けて世界初のインデックスファンドをご提供した1976年当時、回りの反応は冷たいものでした。マーケットをアウトパフォームするチャンスが得られるファンドに慣れた当時の投資家にとって、幅広く分散化されたベンチマークのパフォーマンスに低コストで連動するというバンガードの手法は物足りなく思えたのでしょう。その後、投資家の見方は変わりました。経験によって、低コストで幅広く分散化されたポートフォリオに投資する利点が実証されたのです。

米国投資信託協会(ICI)によると、2015年末時点で、米国の投資信託と上場投資信託(ETF)の約30%がインデックス投資でした。今では、これが唯一の投資手法だとして、「インデックス運用の勝利」と称賛する声すらあります。 

バンガードは、インデックス運用の高まりが浮き彫りにしたのは1976年から続く投資の原則であると考えています。長期・分散・低コストのアプローチによって、投資家は成功への最善のチャンスを手にすることができるのです。選択する道がインデックス運用かアクティブ運用か、あるいはその両方か、いずれであってもこの原則に変わりはありません。

バンガードのファンドに投資いただきありがとうございます。

Bill McNabb
F・ウィリアム・マクナブ3世
会長兼CEO(最高経営責任者)


 

ご留意事項

リスクに関する情報

一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動するため、 株・債券の価格が下落し、損失を被ることがあります。株・債券の価額の変動要因としては、主に「価格変動リスク」や「為替変動リスク」、「カントリーリス ク」、「信用リスク」、「流動性リスク」などがあります。

 

 印刷