究極の長期投資家

10 July 2017 | 行動ファイナンス

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バンガードの会長兼CEO(最高経営責任者)のビル・マクナブのコメント

Bill McNabbバンガードが1976年に初の個人投資家向けインデックスファンドを米国において創設したとき、インデックス投資は、(インデックス投資を検討した人々からでさえ)好奇の眼で見られました。批評家たちは、なぜ市場を出し抜くのではなく、市場全体に投資して平均リターンを得ることで“満足”するのかと不思議に思いました。

40年後、インデックス投資の利点は広く認知され、受け入れられています。数千万人もの個人投資家が、老後、教育、住宅購入のための資金を貯めるために、そして将来の経済的安心を確保するために、低コストで、広範に分散されたインデックスファンドとETFを利用しています。一方で、高コストのアクティブ運用のファンドマネージャーは、一層必死な抵抗を見せています。昨年、ある会社は、インデックス投資は“マルクス主義”より酷いと主張するレポートを発表しました。

最近も、シカゴ大学のM.トッド・ヘンダーソン氏とドロシー・シャピロ・ルンド氏の二人の教授がインデックス投資を “コーポレート・ガバナンスにとって危険である”と批判しました。彼らは、インデックスファンドのマネージャーは、ガバナンスに興味がなく役割を果たしていない上、議決権を多く持ち過ぎていると主張しています。インデックスファンドは議決権を放棄すべき、というのが彼らの提案の趣旨です。

この提案は軽率で、危険な誤解です。ですから、誰かが投資人口の多くの割合を占める人々の権利を組織的に剥奪することを検討する前に、バンガードが、投資の受託者としての役割をどのように考えているかをご説明したいと思います。

  1. 私たちは、ガバナンスを非常に重視しています。インデックスファンドのマネージャーは、他の投資家と同様、もしくはそれ以上にガバナンスを重視しなければなりません。私たちは基本的に株式を永遠に保有します。なぜなら、インデックスに組み込まれている限り、その銘柄を売却することはできないからです。

    私たちは、例えば、前四半期におけるコカコーラとペプシの株価の相対的なパフォーマンスには関心はありません。(私たちのインデックスファンドは、1976年以来ずっと両社の株式を保有し続けてきましたし、今後も、ペプシとコカコーラが関連する指数の構成銘柄である限りは、何があっても両社の株式を保有し続けます。)そのため、バンガードの投票とガバナンスについての意見は、私たちの顧客の投資を守るための最も重要な手段なのです。

    投資先企業の長期的価値に対する重大なリスク(劣悪な経営者、不十分な情報公開、誤った報酬体系、株主の権利に対する脅威など)を見つけたら、私たちは声を上げ、議決権を行使します。ガバナンスが優れている企業は、長期的に見ると、より良いパフォーマンスを達成する傾向があるからです。もし、優れたガバナンスという上げ潮が、全ての企業の業績を持ち上げることができれば、全ての投資家にメリットがあります。
  2. 私たちはガバナンスが得意です。バンガードのインベストメント・スチュワードシップ・プログラムは活気がある、成長を続けているプログラムです。バンガードのセクター・アナリストは、私たちの投資の長期的価値に脅威を及ぼす課題に精通しています。過去1年において、私たちは取締役会や経営陣と900回以上(2013年以降、平均すると年率17%増加)対話しました。

    企業の会長、最高経営責任者、あるいは取締役と話すときはいつでも、2,000万人のバンガードの投資家の皆さまの経済的利益を代表するという私たちの役割を非常に強く意識しています。私たちは、活動家、様々な調査会社、そして独自の専門家のネットワークの意見にも耳を傾けます。その上で、独自の分析を行い、その結果に基づき議決権を行使するのです。

    一部の取締役会と経営陣は、長い間、インデックスファンドの投資家の支持を当然のものと考えてきました。現実には、活動家の主張に説得力があり、推薦されている人物が優れている場合には、私たちは喜んで活動家を支持します。実際、過去1年の委任状争奪戦の約半分でそうしてきました。議案が可決されなかった場合でも、活動家が長期的に意味のある変化をもたらす議論を引き起こすことはしばしばあります。
  3. 1株は常に1票であるべきです。そして、100万株は、100万票と等しくあるべきなのです。これは、地理、投資スタイル、保有期間を超越した基本的なガバナンスの権利です。

    多くの投資家が保有する大型のファンドは、投資家数の少ない小さなファンドに比べて多くの議決権を有しています。バンガードは、カリフォルニア州が米国の国政選挙を支配しないように、企業の議決権の投票結果を支配していません。私たちは、保有する株式数に応じた発言権を有していて、私たちのお客様にとって最も有利な長期的経済利益を念頭に投票します。他の株主の過半数が同じ結論に達した場合にのみ、結果は私たちの投票と合致したものになります。

    アクティブ運用のファンドマネージャーの手に、議決権を集中させるべきだという提案は、取締役会と経営陣の説明責任を軽減し、長期的な利益を考慮する意見を沈黙させることで短期主義を助長し、投資家と企業のインセンティブを歪めてしまう恐れがあります。

    インデックスファンドは、パッシブ(受動的)な投資家かもしれませんが、バンガードのファンドは、受動的な株主ではありません。私たちのお客様は、バンガードが世界中の役員室において、お客様の利益を代表することを任せて下さっています。私たちは真剣に、そしてその信頼に相応しい献身を持って、責務を果たしています。

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