家族の財産について子どもに話すこととは?その話し合いを始める時期と方法

26 July 2019 | 行動ファイナンス

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ジル・マーシャル

私は先日、大学の同窓会に出席しました。旧友との再会を楽しんだのはもちろんですが、私の母校の新入生となった娘と貴重な時間を過ごすという思いがけない機会にも恵まれました。娘は自分の力ですっかり生活に順応していますが、私にはまだ彼女に教えなければならないことがたくさんあるという思いを強くしました。独立に向けて歩み続ける娘に教えるべきことは、自分で成長する考え方を持つことから、自分の経済状態の管理能力まで多岐にわたります。

私は富裕層向け事業であるVanguard Flagship Select Services™のクライアント・エグゼクティブとしての業務を行う中で、金銭に関する責任についての知識を、ご自身のお子さんに教え込みたいと考えている、多くのご両親とお話する機会があります。しかし、家族の財産について話し合うのは気まずいということもあります。そのため、いつ、どのように子どもに財産の話をすればよいのか、という質問をよく受けます。

もし皆さんも同じ疑問をお持ちであれば、他にも同じように感じている方はいらっしゃいます。ただし、その答えはそれぞれの家族構成や環境によって異なります。

ただ、私たちの専門的な調査や家族の業務に関わる経験からみて、最もよい方法は今すぐにでも話し合いを始めることです。この教育プロセスを簡素化しスタートするための一助として、各段階に応じた一連の話し合いの枠組みを作ることをお勧めします。

誤った思い込みを捨てる

家族にお金の話をするときは、家庭の財政状態を開示することから始めなければならないと思い込んでいる方がいらっしゃるようです。その必要はありません。実際、そこまでの透明性はやや過剰という感じがします。また、子どもの生活に思わぬ結果をもたらすかもしれないと心配される方もいらっしゃいます。

そうした思い込みを捨てて、柔軟に対応し、シンプルに行うことを心がけてみてはいかがでしょうか。子どもの年齢に応じて金融の話題について話すということが、この話し合いの枠組みを形作る上で役立つと思われます。また、子どもの反応や成熟度を推し測ることもできるでしょう。このアプローチに従うと、後に資産の金銭的価値や一覧を明らかにすることもできます。

以下は、私がご家族の相談に乗る際に使用しているトピックの例です。

基礎を学ぶ
(5~18歳)
遺産や家族の伝統に重点を置く 「支出、貯蓄、譲与」という概念を伝える 勤労の価値を徐々に教え込むために、家庭内の作業を割り当てる
概念を適用する
(大学在学中)
資産と負債を理解する経験をさせる 予算と貯蓄について教える 投資原則など金融の概念を理解する
範囲を広げる
(20代半ばから後半)
投資、ファミリー・ビジネスおよび不動産について深く掘り下げて教育する ドナー登録の団体や財団など慈善事業への寄付という選択肢を理解する これらの話題について話し合い、全員の理解度を評価する家族会議を開く
メンタリングおよび
全体像の理解
(30代)
遺言、信託、担保といった概念を深く掘り下げて理解する 家族全体に幅広く関与する金融機関を理解する 両親から次の世代へのリーダーシップの移行に照準を合わせた活動を与える
リーダーシップの
移行の準備
(40代以降)
財産譲渡のプロセスと家族にとっての資産の目的について話し合う 複数の世代を交えて相続計画の話し合いを行う 財産分与の方法(家族構成員、慈善事業、またはその両方への分配など)を含めた、将来の計画を決めて伝える

 

価値観、それが本当に重要なものであり、金額ではない

家族にお金について教える際には、家族の価値観についても合意することをお勧めします。率直に言って、これはいくらお金を持っているかに関係なく、有益なアドバイスだと思います。必要なのは、安心で快適な環境で家族全員がアイデアを探求し、自分が家族の一員としてどのように知られ、記憶に残してもらいたいかを共有できることです。これは次世代が「家族の財産」の意味を理解するのに役立つでしょうから、極めて強力な学びの経験となる可能性があります。言い換えれば、本当に重要なものとは、家族が所有するものではなく、家族が最も大切にしている価値観です。

こうした話し合いや教育は早く始めるほど、将来に向けて家族の一致した価値観をより容易に築くことができます。ですが、まだこのプロセスを始めていなくても、遅すぎることはありません。今からでも始められます。私は、自分が学んだことを常に娘に伝え続けています。そうし続ける中で、重要なのは目的地ではなく、そこへ至るまでの行程だということを実感しています。

同じように、皆さんのご家族においてもこの行程と価値観こそが、今後何世代にもわたって家族の財産を守り、家族の絆を深める上で役立つでしょう。


 

ジル・マーシャル

ジル・マーシャルはFlagship Select Services™のクライアント・エグゼクティブです。事業戦略の開発と富裕層投資家の皆さまおよびそのご家族に、パーソナル・サービスとサポートを提供する資産運用プロフェッショナル・チームのリーダーを務めています。リーダーとしての責務の一環として、顧客の声を拾い上げ、擁護する役割を果たし、Flagship Selectのクライアントサービスを継続的に向上させる方法の決定をサポートしています。

ジル・マーシャルは1989年にプライベート・バンキングを皮切りに金融サービスのキャリアをスタートさせました。1997年にバンガードに入社し、様々な戦略策定や投資関連の業務に従事した後、2014年にFlagship Select Servicesに加わりました。

デューク大学にて経済学士号を取得。


 

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