ファイナンシャル・アドバイザーに関する4つの俗説と1つの事実

12 September 2017 | 行動ファイナンス

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解説:バンガードのシニア・ファイナンシャル・アドバイザー、トニー・ジョルダーノ

私がバンガードに来て20年以上が経ちますが、その間に私はいくつかのことを学びました。たとえば、社内のさまざまな部署の社員が集まるミーティングに臨む際には、必ず「アイスブレイク」(訳注:会合等の冒頭に行う、場を和ませるための軽いゲームや会話) を用意しておくことです。こういったゲームを面白いととらえるか面倒ととらえるかは人それぞれですが、いずれにせよ、通常ミーティングの参加者は全員アイスブレイクに参加しなければなりません。

最近、「2つの真実と1つのウソ」と呼ばれるゲームをする機会がありました。ルールは簡単です。参加者はおのおの、自分自身に関する2つの真実と1つのウソを述べます。他の参加者は、どの2つが真実でどれがウソかを当てます。ミーティングルームにいる全員が、お互いの(名札の名前以外の)ことを知ることができ、時に共に笑い合い・・・。すると、氷 (アイス) がみるみる融けて (ブレイク) いきます。

ゲームスタート

このアイスブレイクをきっかけに、私は「ファイナンシャル・アドバイザー」という自分の仕事のあいまいさについて、考えをめぐらせました。ファイナンシャル・アドバイザーとは、一体何をする職業なのでしょうか。

アイスブレイクの精神にのっとり、私は「2つの真実と1つのウソ」をもじって、「ファイナンシャル・アドバイザーに関する4つの俗説と1つの事実」をお話ししたいと思います。これをお読みいただくことで、ファイナンシャル・アドバイザー・サービスに対するバンガードの考え方をご理解いただけることと思います。(なお、お読みいただくにあたり名札は無用です。)

俗説か事実か<その1>:ファイナンシャル・アドバイザーは、あなたの資産をパフォーマンスの低い銘柄から、パフォーマンスの高い銘柄へと導くべきである。

俗説です。どの銘柄が上昇基調なのか下落基調なのか (そして、その基調がどれくらい長く続くのか) という予測に基づいた投資戦略は、長期的には成功しないでしょう。あなたの感覚に基づいて投資判断を下すことも同様に、長期的には成功しないでしょう。

例えば、下げ相場の真っただ中で株を売る株式投資家は、売却時に損をします。 一方で、「方針を堅持」して市況が回復するのを忍耐強く待つ投資家は、2008年~2009年の世界的な金融危機の直後のように、株価の劇的な上昇を経験するかもしれません。

ファイナンシャル・アドバイザーとしての私の仕事は、顧客が自分自身でコントロールできることに注意を向けるためのサポートすることです。市場が上げても下げても私は常に顧客のそばで、市況の変化の中で誘惑に負けて長期計画を放棄しないようサポートします。

俗説か事実か<その2>:ファイナンシャル・アドバイザーは、あなたの口座残高と運用パフォーマンスにのみ注目する。

俗説です。運用ポートフォリオは、あなたの経済生活の一部にしかすぎません。私がまずしなければならないのは、自分の顧客を知ることです。その後で、顧客の投資目標、投資期間、許容できるリスク等、財政状況全体を勘案した長期的なファイナンシャル・プランを立てます。

私の顧客が知りたいのは次のようなことです。「大学進学に備えてどのように貯蓄したらよいか?」「退職後、お金を使い果たさないためにはいくらまで支出できるか?」「いつ公的年金を請求すべきか?」。これらは一般的な質問ですが、私の回答は顧客1人ひとり違います。私の目標は、顧客に長期的な目標を常に見据えるように働きかけて、目標を達成できるようにすることです。

俗説か事実か<その3>:ファイナンシャル・アドバイザーは、市場が変化するたびにポートフォリオを変更するようなことはしない。

事実です!市場に変動はつきものです。世界中の株式市場は平均して18カ月ごとに調整 (10%以上の下落) を経験しています。

たとえあなたがこれに動揺しても、ファイナンシャル・アドバイザーである私は動揺しませんのでご安心ください。顧客のポートフォリオを構築するに当たっては、さまざまな市場条件をシミュレーションして、異なる環境下でのパフォーマンスを予測します。そして次に、市場の変動性の影響を軽減するために、目標資産配分を慎重に選択します。

市場の変動により、顧客の資産配分が目標資産配分から5%以上乖離した場合には、リバランスを行います。これにより、ポートフォリオは顧客のリスク許容度と整合した状態に保たれ、市場が変動した時(「もし変動したら」ではなく)にも資産配分を信頼することができます。

俗説か事実か<その4>:あなたのポートフォリオに、いま一番人気の銘柄が含まれていない場合、あなたのファイナンシャル・アドバイザーは良い仕事をしていない。

俗説です。あなたの投資目標が、次のブームに初期段階から乗ることであるならば、流行の銘柄を追い求めることが有効な戦略と言えるかもしれません。しかし、「〇〇年後に退職予定である」といった現実の投資目標がある場合は、分散型ポートフォリオで長期的な運用をする方が望ましいでしょう。

投資目標の達成のために設計された資産配分は、堅実な投資戦略の基礎となります。資産配分は、それ以外の投資の意思決定 (個別銘柄の選択を含む) よりも、ポートフォリオのパフォーマンスに影響を与えます。

俗説か事実か<その5>:ファイナンシャル・アドバイザーが必要とされるのは、あなたのポートフォリオが複雑な場合だけである。

俗説です。ポートフォリオが複雑だからではなく、人生が複雑であるから、ファイナンシャル・アドバイザーを雇うことで利益を得られるのです。投資家はたいてい複数の投資目標を持っていますが、これらは時間とともに変化します。今のあなたの最優先事項は、子供の大学進学のために貯蓄することかも知れません。しかし、20年後のあなたの主な関心は、退職貯蓄を節税しながら効果的に使うことに変わっているかも知れません。

人生は続き、時が流れるにつれ、あなたのポートフォリオも変化に対応しなければなりません。ファイナンシャル・アドバイザーは、顧客が目標に基づいたファイナンシャル・プランを構築・維持するのを手助けし、顧客の目標とニーズの変化に応じて調整します。

――はい、これで参加メンバー全員の紹介が終わりました。氷はすっかり融けましたね。アイスブレイクへのご参加ありがとうございました。ファイナンシャル・アドバイザーが何をする職業か、皆様の理解が深まっていれば幸いです。


 

ご留意事項

<リスクに関する情報>

一般に、株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は市場金利の変動等を受けて変動するため、 株・債券の価格が下落し、損失を被ることがあります。株・債券の価額の変動要因としては、主に「価格変動リスク」や「為替変動リスク」、「カントリーリスク」、「信用リスク」、「流動性リスク」などがあります。

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