方針およびガイドライン
責任投資に関する方針
バンガードは、「すべての投資家の皆さまと公平に向き合い、投資目標達成のための最良の機会をご提供する」ことを理念に掲げています。この使命を果たすための指針が当社の基本的価値観である誠実性、集中および受託責任であり、すべての意思決定はこれらに基づいて行われています。バンガードの米国における所有構造は、誠実性が組織の特徴の基礎を成していることを意味します。バンガードには相反する忠誠心は存在しません。投資家の皆さまにとって正しいことを行うのが設立の理念だからです。当社の長期的な視点や規律ある投資アプローチは、クライアントやその投資資産の持続的な価値を最も重視しています。当社の受託責任は、コストを低く抑え、クライアントを不当なリスクから守るため、全力を尽くす姿勢に表れています。当社は、責任投資がバンガードの文化に内在しており、投資資産をクライアントの利益に最もかなうよう運用する受託者としての義務に合致すると考えています。
バンガードは、以下の行動を通じて責任投資を支持しています。
- 当社が当社クライアントの長期的な投資成果を改善するとみなす議案に賛成するため、議決権を行使すること。
- 長期的な価値創造を実現するため、特に投資先企業に対して責任あるコーポレート・ガバナンスを提唱すること。
- 当社の投資における重要な環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する機会やリスクに対し行動すること。
議決権行使
株主総会での議決権行使は、所有者として企業に働きかけるバンガードの姿勢を明快に表しています。当社コーポレート・ガバナンス・チームに在籍する経験豊富なアナリストが提案を審査し、議決権行使ガイドラインに従って議決権を行使します。ガイドラインは、優れたコーポレート・ガバナンス慣行の支持を通じて、長期的な株主価値の向上を意図しています。ガイドラインは各議案の分析の枠組みも定めており、意思決定の根拠となっています。議決権行使を評価する際、コーポレート・ガバナンス・チームは、企業の経営陣や株主グループのほか、各種の調査やデータなど、多くの情報源から得た情報を検討することがあります。当社は、コーポレート・ガバナンス基準のさらなる発展や長期的な株主価値に対するリスクを考慮するため、定期的に議決権行使ガイドラインを見直しています。
働きかけを通じた提唱
バンガードのファンドは、通常では企業の株式を長期にわたって保有しており、インデックス・ファンドの場合には実質的に永久に保有することになります。当社は、こうした企業のリターンを長期的に最大化するカギが優れたコーポレート・ガバナンスであり、優れたコーポレート・ガバナンス慣行を構成する要素は環境・社会リスクの効果的な管理だと考えています。投資先企業の取締役や経営者との議論には多大な分析と努力を要しますが、こうした議論の水準や頻度は、バンガードのファンドに及ぼす重大な影響、論争の度合いといった点に左右されることがあります。当社は、問題を完全に理解した上で企業に意見を伝えるには、議決権行使よりもこうした働きかけの方が有効だと考えています。
バンガードのアプローチは、「地道な努力による成果重視主義」と表現できます。これは、企業が長期にわたってすべての投資家に持続的な価値をもたらすよう、建設的な意見を提示するものです。
当社では、ポートフォリオ企業に存在するガバナンス・リスクを特定するためのプロセスを確立しています。企業への働きかけにおいては、主に以下の分野を重視しています。
- 適切に構成され、独立しており、有能かつ経験豊富な取締役会
- 株主に権利を付与するガバナンス構造
- 長期的な業績向上のインセンティブとなる妥当な報酬
バンガードは業界のイベントや議論に熟慮の上で参加し、優れたコーポレート・ガバナンスや責任投資を促進しています。このような場の活用によって当社が提唱する考えを広め、投資問題に関する理解を深めることができます。また、様々な株式指数の手法、構成および管理を理解するため、指数提供会社への働きかけも行っています。さらに、当社はベスト・プラクティスを促進するために世界中で基準を厳格化し、市場の他の利害関係者と共に規制政策の発展に積極的に貢献しています。
投資における環境、社会、ガバナンス(ESG)関連の機会およびリスクに対する行動
債券運用グループ
当社が委託を受けて行っている債券のアクティブ運用を支えるのは世界規模の信用アナリスト・チームであり、各債券発行体について独立した立場からリスクを評価し、投資意見を作成しています。このチームは、全体的な独立リスク評価の一環としてESGリスクがもたらす重大な影響を理解し、市場価格がこのようなリスクを十分に反映しているか否かの判断に努めています。ESG統合枠組みを当社の投資に関する意思決定プロセスに一貫して適用すること、リスクやリスク対処の改善方法を深く理解するため発行体と協力することが重視されています。
株式運用グループ
当社の株式運用委託の大半を含む、当社が世界中で行っている投資の大部分は、指数との連動を目指しています。指数提供業者がベンチマークの構成銘柄を決定しますが、投資対象の選定または維持においてはESGリスクを考慮していない可能性があります。当社の世界的な商品ラインアップには、指数提供業者が定める社会的責任の基準を満たしていない企業を除外した指数との連動を目指すファンドが多数含まれています。
ポートフォリオ・レビュー
当社のアクティブ・ファンドの多くが投資運用に外部アドバイザーを利用しているため、ポートフォリオ・レビュー・チームは当社の外部運用会社を継続的に監視しています。このチームが行う運用会社の調査・監視プロセスは、投資パフォーマンスを牽引する要因や、長期的に投資を成功させる運用会社の能力の理解を重視しています。投資運用会社を評価する際には複数の情報が検討されます。例えば、投資運用会社の文化、倫理および安定性、投資チームの技能および知識の深さ、投資の理念およびプロセス、リスクを効果的に管理しながら投資プロセスを実行する能力などです。チームは、ESG要因がどのように投資プロセスを特徴づけるのかを深く理解するため、当社の外部投資運用会社に定期的に働きかけ、その業務を検討しています。また当社は、長期にわたる改善、進展および変更の監視に役立てるために、各運用会社の責任投資またはESGに関する方針に関する文書を保管しています。
監視および開示
バンガードの投資および所有者として企業に働きかける態勢にESGを統合する作業は、現在、議決権行使監督委員会が監視しています。議決権行使監督委員会は、当社の最高経営責任者および一部のバンガード上級役員で構成されています。部門の枠を超えたチームが日々のESG統合管理を支え、当社の商品ラインアップ全体にわたって環境・社会・ガバナンスのリスクを定期的に評価するとともに、これに対処するグループを代表しています。
方針および態勢の継続的な見直し
当社は今後も、当社の投資に影響を及ぼす新たなリスクや問題を発見した場合は、責任投資に対するアプローチを変更し、発展させていきます。当社の方針やその他の部門別ガイドライン・態勢は定期的に見直されます。最新情報はバンガードの外部ウェブサイトなどを通じて開示されます。
コーポレート・ガバナンスおよび役員報酬に関する指針
バンガードは、ファンドに投資した方々に対し、当社ファンドの投資資産価値を長期的に最大化する責務を担っています。そのため、バンガードは、ファンドの投資先である企業のコーポレート・ガバナンスと役員報酬に関して実効性のある指針を掲げています。当社のこの指針は、株主価値を高める上で重要な方法の一つです。
コーポレート・ガバナンスについて
以下に詳述する指針は、バンガードが当社ファンドのために議決権を行使するにあたって、ガイドラインとなるものです。この指針は、今後、バンガードがポートフォリオに組み入れた企業とコーポレート・ガバナンスについて協議する際の枠組みとなるため、非常に重要です。
独立した立場からの監視
取締役会の実質的過半数を占める取締役に関しては、経営から完全に独立している必要があると考えます。また、取締役会の議長が独立取締役でない場合、取締役会には、筆頭取締役または主席取締役など、独立した立場でリーダーシップをとることができる者が存在していることが重要です。独立した筆頭取締役または主席取締役は、CEOとその他の独立取締役との間で適切なバランスを図る一方で、CEOを交えることなく、独立取締役同士で定期的に協議の場を持つことが求められます。
説明責任
コーポレート・ガバナンスは、主に企業の所有者(株主)と経営者、そして取締役の関係性を対象とします。経営陣が取締役会に対して、また取締役会が株主に対して説明責任を負うことは、価値創造への重要なインセンティブとなります。そうした観点から、バンガードは、取締役は過半数の賛成によって毎年選任されるべきであり、業務執行役員の報酬と企業の業績が密接に連動しているかを注視すべきと考えています。
企業への働きかけ
役員は、株主が関心あるいは懸念を示す事項について、株主と定期的に意思疎通を図ることが重要です。さらに、株主と取締役会との意見交換の場を設けることも考えねばなりません。取締役会は、議決権行使のプロセスを通じて株主の意思を受け取ることができるものの、賛成反対を問う投票では、その一部しか把握することができません。バンガードでは、年に数百回に及ぶ会議や協議を開催してきた経験から、投票形式よりも対話形式の方が得られる成果が大きいことを確信しています。
業績連動型報酬
バンガードは、業務執行役員の報酬の半分以上について、長期的な株主価値を創造したことに基づいて支払われるべきだと考えています。独立した報酬委員会には、長期と短期、両方の実績に報いる報酬体系を構築するための十分な裁量を与える必要がありますが、常に、持続可能な価値創造に重点を置くことが重要です。業務執行役員に対し、自社株式の所有と保持を義務づけることは、「株主」としての視点を共有することにつながるため、非常に高く評価できます。一方、業務執行役員の報酬は、業績にどのように報いるかにかかわらず、報酬それ自体で見たときに常に合理的でなくてはならず、また一般株主の利益を不当に希釈化するものであってはなりません。さらに、退職金に関しても、退職時ではなく、優れた業績をあげた際に支払われるべきだと考えています。最後に、報酬慣行の開示義務については、報酬額だけでなく支払い根拠にも焦点を当てることで、より有益な情報を提供し、より多くの説明責任を果たすことができると考えています。
株主の経済的持分と議決権との整合性
株主は、重要な事項について、会社の持分に比例した発言権が与えられるべきだと考えています。実質的に株主承認が必要な事項については、発行済株式の単純過半数の賛成が得られればこれを承認するに十分です。種類株式が設定され、特定の種類株式に普通株式より多くの1株当たり議決権が付与されることは望ましくありません。
最小限の買収防衛策と毎年の取締役選任
一般的にみて、会社支配権の市場が制約を受けずに機能しているときに、株主価値の最大化は図られているといえます。しかし、期差取締役選任やポイズン・ピルその他の買収防衛策は、とりわけ、これらが一緒に機能するときには、通常、会社支配権に関する自由な市場と相反する方向に作用します。というのも、買収防衛策により取締役会の交渉力が強まる可能性がある反面、取締役会の説明責任が損なわれるおそれもあるからです。したがって、買収防衛策は最小限に抑え、その実施(特にポイズン・ピル)に踏み切る際は、株主の承認を得るべきだと考えています。
役員報酬について
株主のための持続的かつ長期的なパフォーマンスを実現するために必要不可欠なのが、報酬に関する健全な方針や慣行の整備です。バンガードは、役員報酬の決定については、投資先企業の取締役会と経営陣に委ねるのが妥当であると考えています。しかし、報酬と株主価値を連動させる上で、以下の指針は極めて重要です。
業績に応じた報酬
報酬は、企業の利害関係者が価値創造への意欲を高め、報いるものでなければなりません。したがって、業務執行役員の報酬の大部分は、報酬を受ける役員の意思決定や努力を反映し、かつ長期的な価値創造の貢献につながる財務面や営業面での成績と連動するべきだと考えています。つまり、インセンティブは、株価の全体的な上昇やその他市場全体のトレンドではなく、当該企業に関係するビジネスや製品サイクルにおける相対的な業績に報いる仕組みになっていなければなりません(業績が大幅に下方修正された場合には、過払い報酬の返還を役員に対して要求すべきです)。報酬とは本来、長期的な業績に報いるためのものですが、持続的な価値創造の支えとなるのであれば、1年ごとなどの比較的短期間の業績目標に対するインセンティブも適切といえるでしょう。
合理的な報酬水準
報酬水準や業績目標は、会社の規模や組織の複雑性、業績などを考慮に入れながら、同レベルの他企業と比較した場合に妥当な水準でなければなりません。比較対象企業の報酬データを参照し報酬を決定する場合、特に他業種の企業を比較対象に含める場合には、取締役会は、適切な業績指標に基づき比較対象企業を合理的に選定する必要があります。
株主意見聴取
取締役や会社役員は、報酬に関し定期的に株主の意見を聴く場を設ける必要があります。毎年行われる勧告的投票は、株主にとって報酬決定の方向性を左右しうる意見表明の手段となります。当社は、こうした「セイ・オン・ペイ(役員報酬に対する、拘束力のない株主投票)」投票に加え、取締役選任や株式報酬制度に関する提案への投票を通じて、報酬と株主価値創造との整合性に関し取締役会に意見を提供しています。また、投票に加えて多くの場合、直接協議を行い、報酬制度に関する適切かつ具体的なフィードバックを役員に提供しています。
理念の遵守・伝達
企業によって方針や慣行が異なることは当然ではありますが、各企業においては、自社の報酬制度やその決定の基盤となる、報酬に関する明確な理念を持っていなければなりません。また、開示資料では、比較対象企業の選定や業績目標から業績評価や報酬の決定に至るまで、取締役会の意思決定プロセスを明確にする必要があります。最終的な決定だけでなく、その根拠をも伝えることで、株主は、自身の資産を預かる取締役会の経営姿勢をより厳しく評価することが可能となります。
持株制度の奨励
バンガードは、業務執行役員に対し、自社株式の所有と保持を義務づけることは、業務執行役員の「株主」としての視点を強化することにつながると考え、高く評価しています。業務執行役員は、雇用期間を通じて相当の持分を保有することが期待されますが、一方で企業も、ストック・オプションの行使を通じて取得した株式について、一定期間の保有を義務づけるべきだと考えます。また、従業員とその他の所有者との利害を一致させる手段として、株式報酬制度を取り入れることにも賛成ですが、それによって一般株主が保有する株式の価値が不当に希釈化されることがあってはなりません。
最小限の保証
原則として、上級業務執行役員の雇用契約には、一定の給与または「賞与」の支払いを保証したり、(支配権の変更がない限り)任期満了時に多額の退職金を支払ったりする規定を盛り込むべきではありません。こうした「pay for pulse(業績と無関係に昇給を行う)」またはそれよりなお悪い「pay for failure(業績を悪化させて退任するときでも多額の報酬を支払う)」制度は、バンガードが支持するpay for performance(業績に応じた報酬の支払い)の理念と相反するものです。バンガードは、支配権の変更に伴う支払いについての一般的な取り決めには反対しませんが、そうした支払いは、その性質上、常に「ダブル・トリガー(支配権の変更が生じ、かつ正当な理由なく解雇される場合、業績に関係なく、まだ権利を付与されていない株式報酬の権利が自動的に直ちに付与される仕組み)」となることに注意が必要です。
リーダーによる模範の提示
取締役の報酬は、株主の長期的な利益を守るために必要な取締役の独立性を損なうことなく、取締役の努力に報いる合理的な仕組みとなっていなければなりません。当社は、取締役報酬の大部分を株式の形で支払い、任期中の保有を義務づけることで、取締役と他の株主の利害を一致させることができると考えています。また、主要委員会の委員を務める取締役は、取締役としての職務を除いて、その会社との関係を持つべきではないと考えています。
お問合せ先:InvestmentStewardship@vanguard.com
※英語のみの対応となります。ご了承ください。
環境および社会問題
バンガードは、人々が人道、倫理、環境、社会に関する幅広い問題について、強い関心を抱いているということ、またその中にはその信念が投資にも良い形で反映されることを願う投資家がいるということを理解しています。バンガードは受託者として、株主の利益に最もかなった方法でファンドを運用し、株主が財務面での目標を達成することができるよう、リターンを最大化する責務を負っています。
当社の議決権行使グループは、ポートフォリオ企業とその取締役会に積極的に働きかけ、経営および業務上のリスクから環境および社会リスクまで、さまざまな重要リスクについて話し合いを行います。また、株主からの提案を評価し、その提案と企業の長期的な株主価値との間に論理的に実証できるつながりがあると考えられる場合には、特定の提案を支持することもあります。
バンガードではまた、人道に反する罪または悪質な人権侵害への直接的関与から、当社からの働きかけやポジション売却の検討が必要となるポートフォリオ企業を特定し、モニタリングするための正式な手順を確立しました。最終的には、特定企業の問題や行動に対する当社の判断は、特別な利益団体やその他の組織の判断とは異なるかもしれませんが、当社のアプローチは、企業としての責任と受託者としての責務の適切なバランスをとることができると考えています。
他の資産運用会社と同様、バンガードでは、社会問題や個人的信念のみに基づいて投資先を選ぶ投資家がいるということを理解しています。バンガードでは、そのような投資家に向けてVanguard FTSE Social Index Fund since 2000をご提供しています。低コストで幅広く分散化されたこのファンドは、社会、人権、環境の基準で企業をスクリーニングしたベンチマークとの連動を目指します。
議決権行使に関するガイドライン
各バンガード・ファンドの受託者委員会は、議決権行使の手順とガイドラインを導入して、自らの議決権行使を管理しています。また同委員会は、議決権行使の監督を、バンガードの上級役員で構成される議決権行使監督委員会に委任しています。議決権行使監督委員会は、以下に記載する手順とガイドラインに従って職務を遂行し、受託者委員会に直接の報告を行います。バンガードはこのように、手順とガイドラインに従って議決権行使プロセスを管理し、必要な場合には、行使結果を実行に移す作業を進めます。そのためこのガイドラインは、バンガードの取締役会からも承認を受けています。
議決権行使の目的は、総合的にみればシンプルで、ファンドの投資資産の価値と、当社ファンドへの出資者の価値を長期にわたって最大化する提案および取締役候補者を後押しすることです。目的はシンプルですが、ファンドに寄せられる提案はさまざまであり、複雑なものも少なくありません。そのため、受託者委員会によるガイドラインでは、各提案を評価する上での厳格な枠組みを規定しています。このガイドラインに従い、各提案について、それぞれの事実や事情に基づき利点を評価します。 便宜上、この手順とガイドラインは多くの場合、すべての当社ファンドに適用されますが、議決権行使により個々のファンドにとって適切な決定を下すことが、そのプロセスと慣行の目的です。議決権行使の対象となる提案のほとんど、とりわけコーポレート・ガバナンスに関する提案に関していえば、検討の結果、すべての当社ファンドが同じスタンスに落ち着き、一体となって議決権行使を行うことになります。しかし場合により、あるファンドが、その性質や目的、ポートフォリオ構成その他の要因によって、他のファンドと異なる議決権行使を行うこともあります。
ガイドラインでは、受託者委員会が、ファンドの受託者ではない第三者に議決権の行使責任を委任することは認められていません。議決権行使に関する決定には多くの要因が影響を及ぼします。そのため、ガイドラインには、一つ一つの議決権行使に関する決定を下すに当たって議決権行使監督委員会が検討すべき要因が盛り込まれています。当社のファンドは、保有する株式の一部または全部について議決権行使を差し控えることがファンドと出資者の利益に最もかなうと判断した場合、議決権行使を行わない場合があります。例えば議決権行使のコストが行使による便益を上回ると予想される場合、議決権を行使した結果、取引その他に制限が課せられることになる場合、または当社のファンド(もしくはバンガードが助言を行っているすべてのファンド)のいずれかが保有する特定企業の株式の割合が(当該企業の定款等によって決められた)上限を上回ることになる場合などです。
当社は議決権行使の対象となる提案を評価する際、ファンドの投資顧問、提案を行った企業の経営陣または株主、そして外部の議決権行使調査サービス機関など、多くの情報源から得た情報を考慮します。また当社は対象企業の取締役会からの推奨を非常に重視しますが、ガイドラインや、その他経営陣に反対票を投じるべき具体的な根拠がある場合はこの限りではありません。しかしいずれの場合も、最終的な決定は議決権行使監督委員会のメンバーに委ねられ、同委員会はファンドの受託者委員会に対して説明責任を負います。
以下のガイドラインは、枠組みとしての機能を果たすものの、提示される可能性のあるすべての提案を想定するものではありません。対応する具体的なガイドラインがない提案(取引に関する問題や委任状争奪戦が発生した場合など)については、議決権行使監督委員会が問題を検討し、ファンドの個別的な状況を考慮した上で、投資資産の価値を最大化すると判断した方法で議決権を行使します。
I. 取締役会
A. 取締役の選任
優れたコーポレート・ガバナンスは、取締役会の過半数を独立取締役で構成し、主要委員会を独立取締役だけで構成することから始まります。そのため企業は、報酬、指名、監査委員会の委員を務める取締役の独立性を証明することが必要となります。独立性がないと考えられる取締役に関しては、独立性を有する旨判断した根拠を株主総会招集通知に明記しなければなりません。
当社のファンドは原則として、取締役会が推挙した候補者を支持しますが、 企業の具体的な状況について、適宜関連する取引規則や現地のガバナンス・コードに照らして検討し、ファンドの議決権行使を決定します。その際は、以下の要因を考慮します。
賛成要因
- 議決権行使の対象候補者が選任された場合、取締役会の過半数が独立取締役となること
- 監査、指名、報酬委員会のメンバー全員が経営から独立していること
反対要因
- 議決権行使の対象候補者が選任された場合、取締役会の過半数が非独立取締役となること
- 監査、指名、または報酬委員会に、非独立取締役が含まれること
- 現在の取締役会メンバーの前年度における取締役会出席率が75%未満であること。
- 候補者が所属する委員会の取った行動が、その他のガイドラインから逸脱していること(過度の株式付与、監査以外の業務に対する多額の報酬、取締役会の独立性の欠如など)。
- 候補者の所属する委員会の取った行動が、ガバナンスの深刻な失敗によるものであること(株主の権利を大幅に減ずるような一方的な行動、取締役および株主の提案に 対する過去の投票結果への対応不十分など)。
B. 取締役の選任争い
取締役候補者について選任争いが起きた場合、当社は候補者の資質、現在の取締役会の業績、反対運動の背景にある根拠を評価した上で、株主価値の最大化につながると考える決定を下します。
C. 期差取締役選任
当社のファンドは原則として、(提案者が経営陣か株主かに関わらず)既存の取締役会の期差選任を解消する提案に賛成票を投じ、取締役会の一部の取締役のみを毎年選任する期差選任制度を導入しようとする企業の動きを阻止します。
D. プロキシ・アクセス
プロキシ・アクセス(株主が自身の提案する取締役候補者を議決権行使書に記載する機会を与えられること)は、長期の投資家にプラスの影響を及ぼすと考えています。というのも、プロキシ・アクセスによって、株主は取締役の選任に大きく関与することができるだけでなく、取締役会の説明責任を促し、株主の声に耳を傾ける姿勢を強化することができるからです。
とはいえ、企業に対して長期的かつ相応の持分を有さない投資家による乱用を避けるため、プロキシ・アクセスには適切な制限を設ける必要があります。そのため、原則、企業の発行済株式の5%を3年以上保有している株主または株主グループにのみ、取締役会の定員の20%を上限に、取締役候補者の提案を認めるべきだと考えています。
当社は、プロキシ・アクセス提案をそれぞれの状況に応じて評価します。上記の条件を満たすプロキシ・アクセスについては、支持する可能性が極めて高い一方で、企業のその他のガバナンス規定や関連要因に基づき上記以外の条件で支持する場合もあります。
II. 独立監査役の承認
企業と監査役との関係は、主として監査業務に限定されるべきだと考えています。しかしながら、全体として監査役の独立性を損なうおそれのない、監査と密接に関連した活動が含まれる場合もあります。当社のファンドは原則として、監査役の承認に関する経営陣の推奨を支持しますが、企業が監査法人に支払う報酬全体のうち、監査および監査関連報酬の占める割合が50%に満たない場合はこの限りではありません。監査法人が企業との間に監査業務以外の重要な関係を有している(監査報酬と比較した非監査業務報酬の大きさを問わない)場合は、個別の事案ごとに評価を行い、独立性が損なわれていないかどうかを判断します。
III. 報酬に関する問題
A. 株式報酬制度
株式報酬制度は、適切な設計の下、取締役会から独立した委員会によって管理され、かつ株主の承認を得ている場合には、長期的な株主と、経営陣、従業員および取締役との利害を一致させる効果的な手段となり得ます。当社のファンドは、企業に対する持分を大幅に希釈化したり、制度の参加者に過大な報酬を付与したり、または構造に本質的な問題があったりする制度には反対の立場をとります。
独立した報酬委員会には、従業員の意欲を高めるために、さまざまな報酬を提供できる裁量が与えられるべきです。報酬に関する提案については、業種、時価総額、人材獲得競争の相手などいくつかの要因に照らして評価し、制度または提案が従業員と株主の視点のバランスを保つものかどうかを判断します。このように、重要な事実や状況を漏れなく考慮した上で、提案を個別に評価していきます。
評価の際には、以下の要因を考慮します。
賛成要因
- 上級業務執行役員に対し、最低限(多くの場合、給与の何倍かで表現される)の自社株保有が義務づけられていること
- 株式報酬を通じて取得した株式の保有が一定期間、義務づけられていること
- 報酬プログラムに、付与される株式数がストック・オプション付与後の業績に応じて変動するタイプのストック・オプション、インデックス・オプション(競合他社の株式で構成されるインデックスに基づいて権利行使価格が変動するストック・オプション)、またはその他の業績連動型報酬が含まれていること
- 株式の付与対象が上級業務執行役員だけではない(幅広い従業員を対象にした報酬制度である)こと
- 株式報酬が、市場競争力のある報酬総額を提供する上で、明らかに現金に代わるものとして使用されていること
反対要因
- 全体として(すべての株式報酬制度を含む)発行済株式を、15%を超えて潜在的に希釈すること
- 1年間に付与された株式報酬が発行済株式の2%を超えていること
- 株主の承認なくオプションの行使価格を引き下げ、または別のストック・オプションと交換できること
- リロード・オプション(権利を行使すると、新たにストック・オプションが付与されるタイプのストック・オプション)の発行が認められていること
- 権利付与の対象である株式が毎年、自動的に補充される特徴(「エバーグリーン」)が盛り込まれていること
B. 賞与制度
賞与制度には、業績基準と賞与額の上限(ドル建て)が明確に定められていなければなりません。当社は原則、当該賞与それ自体あるいは比較対象グループとの相対比較でみて、報酬額が過剰である場合には、賞与制度を支持しません。
C. 従業員による自社株購入制度
当社のファンドは原則として、従業員による自社株の所有を推進するための、従業員による自社株購入制度を支持します。ただし、同制度に基づいて購入される株式の取得価格が市場価格の85%未満でないこと、およびこの制度に充てられる株式が発行済株式の5%未満であることを条件とします。
D. 業務執行役員報酬に関する勧告的投票(「セイ・オン・ペイ」)
当社のファンドは、特定の株式報酬制度または賞与制度に関する提案に加え、多くの企業から、業務執行役員の報酬制度全体に対する勧告的投票(「セイ・オン・ペイ」投票)で賛成票を求められることがあります。当社はこうした提案を評価するに当たり、賛否が問われている報酬の金額、業績と連動する株式報酬の額、同業他社と比較した報酬水準など、多くの要因を考慮します。当社のファンドは原則として、報酬と長期的な業績とが効果的に連動しており、かつ同業他社と比べ競争力のある報酬機会を提供する報酬制度を支持します。一方、著しく高額の報酬が保証されているか、業績との連動性が十分ではない報酬制度に関しては、支持する可能性は低下します。
E. 業務執行役員への退職金制度(「ゴールデン・パラシュート」)
業務執行役員による継続勤務へのインセンティブは、退職金より重視されるべきです。しかし特に支配権の変更がある場合など、退職金に関する取り決めがより大きな意味を持つケースもあります。支配権の変更があり、かつ業務執行役員が退任する場合に支払われる退職金(いわゆるダブル・トリガー制度)は、原則として、支払われる給付金額が給与と賞与の3倍を上回らない場合に限り容認されます。支払われる給付金額が給与と賞与の3倍を上回る場合は、その正当性を十分に説明し、株主の承認を得るべきです。当社は原則として、支配権の変更なしに退職金を保証する制度や、業務執行役員の退任を義務づけない制度(いわゆるシングル・トリガー制度)を支持することはありません。
IV. 企業構造と株主の権利
経済的な所有割合に応じて株主の権利を行使することは、株式を所有する者の基本的な特権であり、必要以上に制限されるべきではありません。株主の権利は、定款または附属定款の規定、もしくは何らかの買収防衛規定の導入によって制限される場合があります。原則として、会社支配権に関する市場は、こうした人工的な障壁によって不当に妨害されるべきではありません。
この領域で発生頻度の高い問題に対する当社のファンドの立場は以下の通りです。
A. ライツ・プラン(「ポイズン・ピル」)
企業は、いわゆるポイズン・ピルを導入することにより、潜在的な買収企業が自社取締役会の承認を得ずに支配持分を取得する能力を効果的に抑制することができます。ポイズン・ピルを他の買収防衛策と組み合わせることで、現在の経営陣と取締役の立場を強化することにつながる場合があります。しかし場合によっては、ポイズン・ピルのために買収企業が取締役会との交渉を余儀なくされ、結果的に買収プレミアムの支払いを強いられることもあります。
株主には原則として、ライツ・プランが導入されてから1年以内に同プランを承認する機会が与えられるべきです。それにより取締役会は、後に株主の承認を得ることを条件に、合法的な買収防衛のためにポイズン・ピル条項を導入することが可能になります。ライツ・プランに関する提案の是非を評価する上で、当社は以下の要因を考慮します。
賛成要因
- 期間が比較的短期間(3~5年)であること
- プランの更新に株主の承認が必要であること
- 独立取締役から構成される委員会による、少なくとも3年に1度の見直し規定が盛り込まれていること(いわゆるTIDE規定)
- permitted bid(要件を満たせば、ポイズン・ピルを発動させることなく株式を取得できる)条項およびqualified offer(会社と株主の了解を得た条件で株式を取得できる)条項(「解毒条項」)が盛り込まれており、特定の状況下での株主投票が義務づけられていること
- ポイズン・ピル発動の引き金となる株式保有比率が合理的(15~20%)であること
- 取締役会の独立性が高く、期差選任制度が取り入れられていないこと
反対要因
- 期間が長期間(5年超)であること
- プランの更新が自動化されているか、または更新に株主の承認が不要であること
- ポイズン・ピル発動の引き金となる株式保有比率が15%未満であること
- 取締役会の期差選任制度が取り入れられていること
- 取締役会の独立性が十分でないこと
B. 授権株式数の増加
当社のファンドは、株主の権利を過度に希釈化する可能性のない限り、企業による授権株式数増加の試みを支持します。当社は原則として、現行の授権株式数の50%を上限に、授権株式数の増加を承認します。しかしその際、当該企業が置かれた特定の状況や市場慣行も考慮します。
C. 累積投票
累積投票は、取締役の選任において、当該企業に対する経済的出資分に比例しない発言権を株主に与えるとの考え方から、当社のファンドは原則としてこれに反対します。
D. 特別多数決要件
当社のファンドは、株主が単純過半数に基づいて議案を承認または拒否できる規定を支持します。したがって、当社のファンドは、特別多数決要件を廃止する提案を支持し、これを導入する提案に反対します。
E. 会議を招集する権利および書面による同意に基づいて行為する権利
当社のファンドは、(正当な目的のために、十分な出席者を得て)臨時取締役会を招集し、書面による同意に基づいて行為する株主の権利を支持します。当社のファンドは原則として、こうした権利を株主に付与する提案を支持し、権利を弱める提案には反対します。
F. 秘密行使
(機関投資家か個人投資家かを問わず)株主が議決権行使の内容を強要されたり、行使内容への報復をおそれずに行使することができれば、行使プロセスの完全性は大きく高まります。そのため当社のファンドは、秘密行使を定める提案を支持します。
G. 二元的株式構造
当社は、資本構造を二つの種類に分けることに反対します。類似する経済的出資を行った複数の株主グループに対し、それぞれ全く異なる議決権を与えることになるためです。当社は、議決権の異なる複数の種類株式の設定に反対し、種類の解消を支持します。
V. 環境および社会問題に関する提案
この分野における提案は、主に株主が提議し、一般的には企業に情報開示の強化や特定の商慣行の是正を求めるものです。当社のファンドは、環境および社会問題に関するリスクを含め、関連するセクターや企業に特有のリスクに対する効果的かつ継続的な監視を行う最終責任は、企業の取締役会にあるという当社の見方に照らして、これらの解決方法を評価します。当社のファンドは、各提案の利点について評価し、具体的な提案と企業の長期的な株主価値との間に論理的に実証可能なつながりがあると考えられる場合にはこれを支持します。このような提案の評価の際に検討する要素には、問題の重要性、現在の情報開示および商慣行の質、ベスト・プラクティスや業界規範の採用に向けた企業の努力などがあります。
VI. 米国以外の市場における行使
コーポレート・ガバナンスに関する基準や開示要件、議決権行使の仕組みは、当社のファンドが投資を行う世界各国の市場で大きく異なります。各ファンドの議決権は、場合に応じて、各ファンドのポートフォリオ企業によるコーポレート・ガバナンスや開示の改善を提唱するために用いられます。当社は、各ファンドの米国以外の持分に関して株主に提起された問題を、上記のガイドラインや現地市場の基準およびベスト・プラクティスに照らして評価します。当社のファンドは、市場ごとに異なる慣行を考慮しながら、ガイドラインに理念上、整合すると考えられる方法で議決権を行使します。また、以下に記載するように、行使を行わないことを選択する場合もあります。
米国以外の多くの市場では、株主総会で議決権行使を行うためには、所有株式が「ブロック(閉鎖)されている」こと、または改めて登録されることが必要です。当社は原則として、経済面での決定的な影響がない限り、こうした要件によってファンドの流動性が損なわれるリスクを冒すことはありません。
米国以外の市場での議決権行使にかかるコスト(保管会社の報酬、行使代行機関の報酬など)は、米国での持ち株を大幅に上回る場合があります。そのため当社のファンドは、株主価値に大きな影響を及ぼす可能性が低い問題に関しては、これらの保有企業に関する議決権行使を控えることがあります。
VII. 所有制限を設けている企業の議決権付株式
一部の企業は、定款等に、一定限度を上回る株式の所有を禁止する規定を設けています。所有制限は個々のファンドに適用される場合もあれば、バンガードが助言を行っているファンド全体に適用される場合もあります。こうした所有制限は不動産投資信託(REIT)の定款等に含まれることが多いものの、その他の企業の定款等に含まれている場合もあります。
企業の定款等では通常、企業がこれらの所有制限を放棄できることも定められており、その場合、当社のファンド(またはバンガードが助言を行っているすべてのファンド)は、定められた所有制限を超えて株式を保有することができます。また企業は時として、所有制限を完全に撤廃することもあります。企業は場合により、ファンド(または複数のファンド)が通常の所定の制限を超えて議決権を行使しないことに同意する場合のみ、所有制限を放棄することがあります。この場合、企業が定めた制限を上回って株式を所有することがファンドと出資者への利益に最もかなうのであれば、当社のファンドは議決権の行使を保留することがあります。
VIII. 当社の他ファンドを保有する場合の議決権行使
バンガードの一部ファンド(「オーナー・ファンド」)は時として、当社が保有する他ファンド(「原ファンド」)に出資することがあります。原ファンドがある事案を自身の出資者の議決に委ねる場合、原ファンドは、かかる議案に対する原ファンドの他の出資者の賛否と同じ割合で、オーナー・ファンドに代わって賛成票と反対票を投じます。
IX. 議決権行使グループ
取締役会は、当社のファンドの議決権行使プロセスに関する日々の業務を、議決権行使監督委員会の監督下にあるスチュワードシップチームに委任しています。ほとんどの議決権行使は、各ファンド個々の状況に応じ、各ファンドがそれぞれ導入したガイドラインに照らして意思決定されますが、スチュワードシップチームが議案の検討を議決権行使監督委員会に求める場合もあります。また取締役会には、自身または議決権行使監督委員会の裁量により、自身の議決権行使が認められた場合のみ、自ら議決権を行使する権限が発生します。
スチュワードシップチームの業務は、(1) 議決権行使助言機関の管理、(2) 株式のポジション調整、(3) ガイドラインに記載された要因を考慮しながら、議案を分析、(4) 特定の議決権行使によって生じる可能性のある潜在的な、または実際の利益相反を見極めて対応、(5) 議決権行使です。また当チームは、取締役会宛ての定期報告書や臨時報告書を作成するほか、手順やガイドラインに対する改正案も作成します。
X. 議決権行使監督委員会
独立した受託者が過半数を占める受託者委員会が、バンガードの上級役員の中から、議決権行使監督委員会のメンバーを任命します。
議決権行使監督委員会には、外部クライアントとの関係管理または営業を主要業務とする者は一切含まれません。議決権行使業務と、クライアント関係業務を明確に区別する目的は、議決権行使プロセスにおける利益相反の可能性を排除することにあります。(可能性はまずないとみられるものの)議決権行使監督委員会のメンバーが、議決権行使について自身に利益相反の可能性があると判断した場合、そのメンバーは、当該提案を検討する議決権行使監督委員会の会議から外れ、議決権行使に関する意思決定に加わってはならないものとします。
議決権行使監督委員会は、議決権行使グループと協力し、当社ファンドの議決権行使に関する報告やその他の指針を受託者委員会に提出します。議決権行使監督委員会は、受託者としての誠実性や公正性の基準、そしてバンガードの倫理規定に従って、自らの会議を主宰し、意思決定の権限を行使する義務があります。議決権行使監督委員会は、その単独の裁量により、各ファンドへの出資者の利益に最もかなうと判断した議決権行使を正式に許可するものとします。議決権行使監督委員会は、ガイドラインを実際の特定の状況にどのように適用するかを決定するに当たり、ファンド出資者の投資価値を最大化する上で、ファンドへの出資者の利益と相反する利益を考慮することはできません。
受託者委員会は、これらの手順やガイドラインを随時見直し、修正することがあります。